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_がんワクチン

BP1209

  • 免疫チェックポイント抗体によってがん免疫を指令する樹状細胞に運ばれる新規の個別化ネオアンチゲンワクチン・プラットフォーム

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BP1209は、腫瘍の遺伝子変異を含むがん抗原(ネオアンチゲン)に対する個別化がんワクチンです。ネオアンチゲンは腫瘍にのみ存在するため免疫反応を示す確度が高く、ネオアンチゲンに対する免疫は、正常細胞を攻撃する自己免疫反応を引き起こす心配も少ないことから、がん免疫療法の格好の標的と考えられています。近年、抗PD-1/PD-L1抗体などの免疫チェックポイント抗体によって活性化するキラーT細胞が認識するがんの目印がネオアンチゲンであることが科学的に明らかになり、ネオアンチゲンの臨床上の有用性が示されました。BP1209はこのネオアンチゲンをがん免疫を賦活化するワクチンとして用い、これまでのがんワクチンでは得られなかった高い抗腫瘍活性を達成しています。

BP1209は、腫瘍のネオアンチゲンに対するワクチンを免疫チェックポイント抗体に連結した抗体-抗原複合体ワクチンです。抗体と抗原(がんの目印:ワクチンとなる)を一体化することで、がんを攻撃するT細胞にコンタクトしてがんの目印に関する情報を提供し活性化する抗原提示細胞(樹状細胞)に、ワクチン抗原を効率良く運ぶことができます。
さらに、免疫チェックポイント抗体の作用によってキラーT細胞の活性化が顕著に促されます。

これまでのがんワクチンは、ヒトに投与が可能な、ワクチンのはたらきを高める免疫賦活化剤(アジュバント)が薬事規制上限定されていたために、高い免疫誘導が困難でした。BP1209では、臨床上の安全性が確認されている免疫チェックポイント抗体を、いわばアジュバント成分としても用いることでワクチン効果を高めています。アテゾリズマブやペンブロリズマブなどの抗PD-L1/PD-1抗体はT細胞が受ける免疫抑制を腫瘍局所で解除すると考えられてきましたが、ごく近年、リンパ節で、本来はT細胞を活性化するはずの樹状細胞がPD-L1陽性だとその機能を発揮できないところに介入し、樹状細胞のT細胞活性化機能を取り戻させることが報告されました。また、抗CD40抗体は樹状細胞の活性化を増強することがわかっています。これらの免疫チェックポイント抗体とネオアンチゲン・ワクチンを一体化したBP1209は、がんを攻撃するT細胞を効果的に誘導し増幅することが可能となります。

腫瘍の遺伝子変異とネオアンチゲンは患者ごとに異なり、ネオアンチゲンを標的とするがん治療では患者ごとの腫瘍の遺伝子配列解析とワクチン製造が必要とされます。当社は次世代シーケンサーによる患者個別の遺伝子変異解析とネオアンチゲンを同定するプラットフォームをすでに開発しています。また、抗体と抗原をつなぐ当社独自のリンカー技術によって、一人一人で異なるネオアンチゲンワクチンと、多くの人に共通に用いることができる免疫チェックポイント抗体を混合するだけで、このワクチンにデリバリー機能を加えた抗体―ワクチン複合体を形成することができる仕組みを開発済みです。

A new platform of personalized neoantigen cancer vaccines directed by checkpoint inhibitor antibodies to improve cancer immunity

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