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世界初、CAR-iPSNKTの作製に成功-第37回米国がん免疫療法学会(2)

当社は、理研からiPS-NKTを導入するオプションを行使しました。

iPS-NKT(人工多能性幹細胞から作製するナチュラルキラーT細胞)に、がん細胞が特異的に細胞表面上に発現する抗原(がんの目印)を認識するセンサーであるキメラ抗原受容体(CAR)遺伝子を導入し、CAR-iPSNKTを作製し、第2世代*に移行したCAR-Tの開発フィールドに参入しようとしています。

先日開催された2022年度米国がん免疫療法学会(SITC2022)年次会議で、当社は世界で初めてiPS-NKTプラットフォームからCAR-iPSNKTの作製に成功したことを発表しました。同プロトタイプのCARの標的抗原はCD19(血液がん)とHER2(固形がん)です。共にがん治療薬の標的抗原として臨床有用性が科学的に証明されているものです。

iPS細胞由来の免疫細胞をCAR-Tの「T」として用いるアプローチで最も開発先行しているのが米国のFateセラピューティクスで、2020年に、iPS-NKプラットフォーム(T細胞の代わりにNK細胞を用いる)を使って最大4標的抗原まで指定したCAR-iPSNKを作製して提供する創薬提携契約を、メガファーマであるジョンソン&ジョンソンと締結しています。実はこのメガファーマより2年も先んじで、2018年に日本の小野薬品工業さんが、PD-1抗体オプジーボの次の世代のがん免疫治療薬のモダリティとして着目されたのかどうかは分かりませんが、Fateと同様の契約を締結されています。

SITC2022の開催に若干先んじる形で、小野薬品とFateは、2022年11月7日、2018年の創薬提携契約の定めに基づき、Fateが作製したHER2 CAR-iPST(こちらはNK細胞でなくT細胞)を、小野薬品が固形がん対象に開発・商業化する権利を導入するオプションを行使したと発表しました。彼らのCAR-T細胞療法の標的抗原はこれまで伏せられていたのですが、偶然にも、私どもがプロトタイプの標的として選んだHER2と同じでした。

当社も同様のプラットフォームをもつ企業ならではの事業展開を進めて行きたいと思っています。

注:
*がん治療薬のグローバル市場規模は5年後には50兆円に達すると予想されていますが、その3分の1を占めると言われるがん「免疫」治療薬の中で、免疫チェックポイント抗体に次いで世に出たモダリティのCAR-T(キメラ抗原受容体遺伝子導入T細胞)は、血液がん治療に革新をもたらした第1世代から、汎用性を高める第2世代へと移行しようと研究開発が進められ、大変「ホット」な領域となっています。
数ある第2世代のアプローチ法の中で、私たちはiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製するナチュラルキラーT細胞(iPS-NKT)をCAR-Tの「T」として用います。

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